2025 | 11_27 | Thursday
「NO BAMBOO, NO LIFE !」展 於 中長小西

稀代の竹籠コレクター斎藤正光さんの、希少かつ世界最高峰のコレクションを展示する展覧会、「NO BAMBOO, NO LIFE!」展が日本橋の中長小西さんで開催中とのお誘いをいただきまして、伺って参りました。元々私が竹籠に出会ったのは、昨年の代官山のコンランショップさんで、南雲幸二郎さんキュレーションのエキシビジョンに出た際に、灯やさんの資料を拝見して衝撃を受けてからですが、今年ついに銀座の和光さんでの展示の際に、斎藤さんとご一緒する機会に恵まれまして、よりその素晴らしさを教えていただき、さらに引き込まれた次第です。当初は竹籠と言えば、ほっこりとするザングリとした籠や、釣りの魚籠のようなものとしか認識がありませんでしたが、いわゆる生活の民具とは全く違う、アートとしての美の世界が広がっていた事に頭を殴られるほどの衝撃を受けました。飯塚琅玕斎という人が、元来無名の竹籠を雑器ではなく、芸術品として作り、自身の名を彫り込むということを始めたのがきっかけとなり、その後優れた作家が誕生していったようですが、私が気づいた時にはすでに、琅玕斎作品は、世界中にコレクターが存在しており、億を越える作品まで存在する途方もない頂上の世界となっておりました。斎藤さんが1980年代から竹籠コレクターを始められ、その後の心血を注いだご活躍などで、少しずつ築かれた竹籠への評価ではありますが、ここまで人生をかけて蒐集するという途方もない長旅に、私は尊敬の念をしてやみません。しかも今回の展覧会は、全て非売品です。斎藤さんが最後まで手放したくない至高の逸品を厳選された作品群で、もはや手に入れるなどと言うことすら憚れる、頂点の作品が日本橋に集結しておりました。多くの方がひっきりなしに訪れており、全ての方に斎藤さんと小西さんがご丁寧にご説明をされておられました。中長小西の小西さんも、お店でありながらも、全て非売の展覧会を、図録まで制作して開くという偉業にも驚きでした。小西さんが「これを海外のコレクターに売るのは簡単だけど、ここまでの作品たちはどうしても日本にとどめておきたいから開催した」とおっしゃっていたのが、私はとても胸を打ちました。ゆくゆくは国立工芸館で絶対に開くべき展覧会と思った次第です。また上のお写真の展覧会図録が素晴らしく、斎藤さんの語り口の詳細な解説がほとんどの作品に記されていて、教科書のように反芻して、何度も見返しております。大人の男たちが本気で開催した、まさに今後伝説となり得るであろう展覧会の様子を少しご紹介いたします。

入り口には飯塚琅玕斎の大きな花籠たちが鎮座しております。間近で琅玕斎の作品を見るのは初めてでした。これらは初期の作品たちのようです。一見ザングリしていますが、そもそもこのように竹を編むのは至難の業だそうです。琅玕斎作品はうまくは言えませんが、何か生き物の様な鼓動すら感じる生命力を宿した作品が特徴と思います。気配を感じるのです。また琅玕斎は真・行・草という三つのスタイルで作品を制作したらしく、これらは草で作られた作品だそうです。



私も大好きな、横田鵬斎作品がケースの中に並びます。シャルロット・ペリアンが鵬斎に惚れ込み、フランスへ招いてペリアン作品を共同で作っていたためか、どことなくモダンな雰囲気と流麗な佇まいが、とても魅力的です。琅玕斎に尊敬の念を抱きつつも、自らはこの様な表現に到達する所も彼の成せる技術とセンスと思います。きっちりきれいに編まれた表情も素晴らしく、中国の水注や古代土器を感じるフォルムがとても美しいものです。上のお写真は、鵬斎の代表的な形の花籠ですが、もはや使用はままならずオブジェのアート作品にしか見えません。


そして飯塚琅玕斎の名品、「国香」という名がつけられた作品です。まるでギチギチと音をたてて今も蠢いているかのような、菊紋様。周りには竪琴の弦のようにピンと放射状に張り巡らして編んでおります。

部屋に見立てたコーナーです。作品たち一つ一つの力が強く、オーラが凄すぎて空間が張り詰めております。




ブルーノ・タウトの電気スタンド、あの大倉さん一族が楽譜入れとして使っていたとされる鞄、そして珍しい琅玕斎の小さな籠もあります。

琅玕斎の掛花入。素晴らしいの一言です。どうしてこんな作品を作ることができるのでしょうか。シンプルながらも生き物の様な存在感、誰も寄せ付けない風格も感じます。

斎藤さんが一番お好きだとおっしゃっていた、琅玕斎の作品です。今にも動き出しそうなフォルム、ギシギシと音を立てる竹たち。もはや宇宙すら感じさせるオブジェ作品です。

そして横田鵬斎作品たち。何がそう感じるのか分かりませんが、フォルムや佇まいがベルント・フリーベリの作品と同じ様な共通点があり、不思議と惹きつけられてしまいます。斎藤さんも同じような事を感じるとおっしゃっておりました。


二代飯塚鳳斎は琅玕斎とは少し違う作風ですが、その緻密な編みに引き込まれます。










12月9日(火)までの会期です(日曜休)。斎藤さんはほぼ毎日在廊をされているそうですので、百聞は一見にしかず。このブログで少しでも面白そうだと思った方は、ぜひ斎藤さんのお話を伺いながら、実物を直近で体験してみてください。中長小西さんの一流の美術商の店内も必見です。
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