2025 | 9_17 | Wednesday
「難波田 龍起」展 東京オペラシティ アートギャラリー
私の最も敬愛する物故画家、「難波田龍起」展が東京オペラシティアートギャラリーで開催されており、伺ってまいりました。展覧会は7月から始まっており、まだ大丈夫と思っておりましたら、もうじき会期も終わりに近づいてまいりまして、いそいそとようやく伺えた次第です。難波田龍起は、詩に関心を持つ青年として高村光太郎と出会い、その薫陶を受ける中で画家を志しました。戦前から画業を初めておりましたが、アカデミックな教育は受けておらず、独学の作家です。戦後には抽象作品を描くようになり、様々な切り口で、日本の空気感を描き出しており、国内における抽象絵画の一つの頂点として高い評価のある作家です。今回は生誕120周年を記念して開かれた展覧会でして、会場は写真撮影可能でしたので、少しご紹介をさせていただきます。
初期の作品たちから晩年に至るまで、難波田龍起の一生を俯瞰で見ることができる、ファンにはたまらない内容でした。上のお写真は初期の頃の作品です。風景画や人物画が多いですが、中にはカンデンスキーなどに影響を受けた作品がすでに現れております。しかしどことなく、日本の風が吹いているので日本画の様にも感じてしまいます。
上のお写真から順に、難波田作品らしさに変わっていく変遷が一目瞭然です。高村光太郎に薫陶を受けたこともあり、抽象絵画が極めて詩的で、耳をすますと微かに音楽まで聞こえてきそうな絵が多いのが魅力です。うまく言い表せないのですが、日本の湿潤な自然や風景の空気感を切り取り、その空気感をかなり高次元で自ら昇華して、抽象化して表現している様な感じがするのです。最後の2枚は絵の具を打ち掛けて作られた大作で、難波田作品の最高傑作の一つです。
晩年には作品としての完成度が高まってきた様に感じます。荘厳な佇まいの作品が多く、会場でも圧倒されます。難波田作品は、全てが穏やかで、静かなメロディーが流れている作品がほとんどですが、この後の展示に息子さんを事故で亡くされた際に描いた絵が2点あり、流石にそれらは、苦悶の絵の様に感じてしまいまして、見ていて心打ちひしがれました。
うちにあります難波田作品も追加のおまけで載せてしまいます。小さな油彩と、アクリル画ですが、これでも心静まります。難波田作品は、北欧の陶芸とも相性が良く、特にフリーベリの淡い色味の花器などと並べると、静かで洗練された空間になります。来週から始まります「ギャラリー北欧器 蔵出し市 2025」で店頭へお越しいただいた際にでも、ぜひご覧になってくださいませ。「難波田龍起」展は東京オペラシティアートギャラリーにて10月2日(木)まで開催されております。前回は四半世紀前に開催とのことで、次はいつになるやらですので、この機会にぜひお立ち寄りくださいませ。
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2025 | 9_9 | Tuesday
「ギャラリー北欧器 蔵出し市 2025秋」開催のご案内
昨年の9月に開催をいたしました、「ギャラリー北欧器 蔵出し市」は今年もゆるりと開催いたします。
9月24日(水)〜10月1日(水)までの1週間、 北欧やモダニズム、日本の巨匠作品から、北欧食器、骨董品など、店内に並べております全ての作品を、30%OFF〜の特別お値引き価格にてご案内致します。直しや欠け、はたまた割れた陶片のフリーベリ、コーゲ作品やデザイン・美術書籍や雑誌、洋書写真集やビンテージのネルソンの時計(ムーブ要交換)まで、何でもありの破格値でのご奉仕品も多数ご用意する予定でございます。ただ今、色々品出ししておりますが、物持ちの良さは天下一品。特に古書がすごいことになっておりまして、今回もてんこ盛りの店内となりそうでございます。近くになりましたら、出品作品や特別価格の品々のご紹介など詳細をご案内させていただきますので、もうしばらくお待ちくださいませ。蔵出し市は店頭でのご案内が中心ですが、オンラインショップに掲載作品も期間中は特別価格にお値下げいたしますので、 この機会にぜひ、掘り出し物を探しにご高覧を賜りましたら幸いでございます。
「ギャラリー北欧器 蔵出し市 2025秋」
期間:2025年 9月24日(水)〜10月1日(水)
時間:11時〜18時(期間中無休)ご来店の予約不要です。
会場:ギャラリー北欧器 〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-4-1 Bakurocactus3F
最寄駅:JR総武線 「馬喰町駅」出口6 JR総武線快速 「浅草橋駅」西口1より徒歩3分
都営浅草線「浅草橋駅」より徒歩7分 都営新宿線「馬喰横山駅」より徒歩9分
日比谷線「小伝馬町駅」より徒歩10分
隣は古い建物の吉田薬局さんで、 緑色のビル3階です。
エレベーターがございませんので、 恐れ入りますが階段をお上りください。
電 話 :03 5460 6036
メール:mail@hokuouki.com
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2025 | 9_8 | Monday
「コーゲとフリーベリ 芸術と詩的抽象 ― グスタフスベリにおける師弟の造形的対話」は無事に終了いたしました
名古屋のSTILL LIFEさんにおきまして、開催をしておりました展覧会、「コーゲとフリーベリ 芸術と詩的抽象 ― グスタフスベリにおける師弟の造形的対話」は無事に終了いたしました。一ヶ月以上のロングランでございましたが、初日のトークイベントを初め、連日、本当に多くの皆様にお越しをいただきまして、感謝感激でございました。皆様方には改めまして、心より感謝と御礼を申し上げております。ギャラリー北欧器では関東を飛び出し、遠い名古屋の地で、展覧会を開催するのは創業以来、初めての試みでしたが、STILL LIFEさんの作品たちへの敬意はもちろん、コーゲ、フリーベリの作家研究や、作品たちを静物画の様な切り口で撮影いただいたお写真など、美術館で展示いただいている様な、今までにない特別な展覧会となりました。特に代表の中村さんのコーゲとフリーベリの掘り下げた研究が凄まじく、関連書籍ほとんどの翻訳から、周辺背景の北欧デザイン、日本や民藝の関連性に至るまで、毎回ギャラリーに伺うと内容の濃いお話をさせていただき、新しい発見がザクザクと掘り起こされてまいりました。今後もこの資料は北欧モダニズムの陶芸において、一級の資料となって参るかと思います。また併設のカフェでも、伺った際には私が滞りなく滞在できまして、まさに至れり尽くせりの時間を過ごさせてもらいました。STILL LIFEさんの皆様には、この様な素敵な空間をご提供いただきまして、特別な展覧会を開催していただいた事に、心より感謝と御礼を申し上げます。またこの名古屋の地で、皆々様にはお目にかかれれば幸いでございます。
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2025 | 9_2 | Turesday
ギャラリー北欧器のGalleryにてStig Lindberg(スティグ・リンドベリ)を開設いたしました
9月に入りましてもまだまだ残暑厳しき折、皆様いかがお過ごしでございましょうか。
さてこの度、ギャラリー北欧器のGalleryにて、Stig Lindberg(スティグ・リンドベリ)のページを新たに開設することとなりました。
ギャラリー北欧器では開業当初よりベルント・フリーベリ、ヴィルヘルム・コーゲを中心に、
作品をご紹介をしてまいりましたが、残る最後の巨匠でもあるリンドベリを、 今回、満を持してご紹介でございます。
リンドベリは北欧好きならどなたもご存知のビックネームでございまして、
その功績は、言わずもがなでございますが、 世界中、多くの北欧のお店が扱われて、作品を語られておりますし、
何より東洋古陶磁からの影響が少ない作品が多く、 当店ではあまり、作品をご紹介していなかった経緯がございます。
しかし近年、コーゲやフリーベリの作品をじっくり見ておりますと、 リンドベリは敢えて彼らとは違う表現を狙って、
作品を制作している点に気づき始めました。
コーゲやフリーベリは東洋古陶磁を中心に、古代遺跡、土器や祭器、 宗教哲学からの影響が強い作風ですが、
リンドベリはどちらかというと、アフリカなどのプリミティブな道具、 アミニズムに至る祭器などの影響が感じられ、
二人に敬意を払いつつも、彼の新しい発想から生み出された、 オリジナリティを感じさせる作品群です。
戦後の日本がリンドベリのテーブルウエア作品を安易に模倣したことがあり、
彼は激怒した寄稿文をデザイン雑誌、FORMに投稿しております。
それは己の作品に対する自信と、真に独創的で新しい物を生み出した パイオニアである誇りがあるからこそで、
自身の美術陶芸作品にも同じ哲学が通っており、 似通った表現は絶対に許せなかったのだと推測しております。
ギャラリーでは今後、彼の陶芸一点物作品を中心にご紹介をして、
コーゲにもフリーベリにも見られなかった、 リンドベリのオリジナリティある陶芸哲学を、
少しずつ探ってまいりたいと考えております。
ゆくゆくは1945年にNKデパートで開催された、伝説の展覧会、
コーゲ、リンドベリ、フリーベリの師弟三人展を彷彿とさせる、
展示を展開してまいります。
ぜひ、今後はリンドベリ作品にもご期待くださいませ。
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